大森靖子は正しかった

大森靖子が嫌いだ。彼女の歌を聴けば、蓋をしていた思い出したくない鬱々とした気持ちがフラッシュバックする。

なに者にもなれない自分の中途半端さを、ありありと突きつけられてしまう。

大森靖子が嫌いなのに、つい指が大森靖子の文字を打ってしまう。大嫌いなのに、耳が彼女の歌を聴いてしまう。大嫌いなのに、彼女の言っていることはすべて正しいと思ってしまう。

大森靖子は正しかった。

東京にしかアンダーグラウンドはなかったし、あなたの声は二度と聞こえなくていいしあんな気持ちも二度と戻らないでほしい。